不倫の慰謝料を支払う必要が無い場合と支払う必要がある場合

2023/03/21

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不倫の慰謝料を支払う必要が無い場合と支払う必要がある場合

「不倫」の数が年々上昇傾向にある日本社会においては、いつ誰が「不倫」をしてしまってもおかしくはありません。

既にこの記事を読んでおられる人の中にも、「不倫」がバレてしまった場合を想像し、「不倫」相手の配偶者から高額な慰謝料を請求されてしまうのではないかと不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

以下では、「不倫の慰謝料を支払う必要が無い場合と支払う必要がある場合」について、法律の観点から説明していきます。

こんな人にオススメ！

不倫の慰謝料に関する法律を知りたい
不倫がバレても慰謝料を払わないで良いケースはあるの？
なんで慰謝料を払わなければいけないの？
不倫がバレた、バレる前に法律の知識をつけたい

1 不倫の慰謝料請求の、法律上の根拠は？
2 不倫は違法であるのか？
3 不倫の慰謝料を支払う必要がないケースとは？
4 婚姻関係の破綻が認められない場合は？
- 4.1 婚姻関係が破綻していたと、過失なく信じていた場合
- 4.2 「不倫」は事実だが、証拠がない場合
5 不倫の慰謝料を払う必要のないケースもあります
6 【期間限定】不倫の事で悩んでいるアナタへ
- 6.1 こちらもアナタにおすすめ！

不倫の慰謝料請求の、法律上の根拠は？

前提として、「不倫」による慰謝料請求の根拠となるのは、不法行為責任（民法７０９条）であると理解されています。

不法行為責任とは、違法な行為によって誰かの権利を侵害し、損害を生じさせてしまった場合には、その損害を埋めるための金銭賠償をしなくてはならないとする制度のことをいいます。

ポイント

あくまで、行為の「違法性」が前提となりますので、誰かの権利を侵害し、損害を生じさせてしまったとしても、その行為が「違法」とまでいえないのであれば、損害賠償をする責任は生じません。

加えて、違法行為が行われてしまった場合であっても、それが故意や過失に基づくものでなければ、法律上、損害賠償をする責任は生じないことになっています。

不倫は違法であるのか？

それでは、「不倫」は「違法」な行為といえるのでしょうか。

以下では、夫婦であるAさんとBさん、Bさんの不倫相手としてCさんがいるという一般的なケースを例として、「不倫」の「違法性」についての考え方を解説していきます。

先ず、夫婦（AB）間の関係において、一般的に「不倫」は違法であると考えられています。

日本の法律上、「不貞行為」（配偶者以外の者と肉体関係等をもつこと）は法定の離婚事由となっている関係で、夫婦は互いに貞操義務を負うと考えられているのがその理由です。

換言すると、配偶者が居るにもかかわらず他人と肉体関係をもつ行為は、配偶者に対する貞操義務に違反するものであるから、「違法」であると捉えられています。

では、Aさんと、不倫相手Cさんとの関係ではどうなるでしょうか。

この場合、二人は夫婦ではなく、CさんはAさんに対して貞操義務を負っているわけではありませんので、夫婦間の場合の様に、当然に「不倫」が「違法」となるわけではありません。

もっとも、「不倫」が常に「違法」でないのかというと、そういうわけではなく、「婚姻共同生活の平和の維持」を侵害する場合には「違法」となるというのが、現在の判例の立場であるといえます。

ポイント

換言すると、「不倫」によって、夫婦（AB）の婚姻生活がかき乱されてしまった場合に、はじめて「違法」と評価されることになるのです。

不倫の慰謝料を支払う必要がないケースとは？

不倫の慰謝料のことで悩む女性

以上からすると、夫婦の「婚姻共同生活の平和の維持」を侵害したとはいえない場合、「不倫」をして肉体関係をもったとしても、慰謝料を支払う必要はないということになります。

具体的には、「不倫」をした当時、既に夫婦生活が破綻していたような場合には、「婚姻共同生活の平和の維持」がそもそも不可能となっていますので、不法行為責任を負うことにはなりません。

法律上は離婚しておらず、形式的には夫婦の関係であっても、長期間の別居をしており、互いに会うこともしていない状況等では、婚姻生活が既に破綻していると認められるケースが多いのではないでしょうか。

なお、別居の場合と異なって、裁判でも比較的よく争われるのが、夫婦が同居しているというケースです。

夫婦が別居をしている場合と異なり、同居中の場合には、未だ婚姻生活をやり直そうと努力している段階（破綻に至っていない段階）であると評価されることも多いので、慰謝料請求が認められてしまう傾向にあることは否定できないでしょう。

ポイント

もっとも、たとえ同居している場合であっても、実質的にみれば、いわゆる家庭内別居の状況にあるということはあり得ます。

性交渉が全く行われていないであるとか、会話も全くなく愛情が失われているといった場合には、婚姻関係が破綻していると評価される余地が大いにあることとなります。

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加えて、既に離婚に向けた協議が進んでいる等の経緯があれば、婚姻関係の破綻を強く窺わせる、有利な事情となるでしょう。